2009年7月10日 (金)

日本語を学ぶ

 『日本人の知らない日本語』(蛇蔵&海野凪子 著 メディアファクトリー)を読んだ。この本には、日本人顔負けの、日本語を学ぶ外国人が何人も登場する。
 外国人に日本語を日本語で教える。その大変さは、想像していたのとはまったく違う種類のものだった。日本人以上に日本の風俗や文化を知らないと、日本語教師という仕事は務まらないのだと痛感した。
 先日、地下鉄で見かけた外国人が小さな端末で日本語を学習していた(のだと思う)。多分、漢字を覚えるソフトだと思うのだが、目に入ってきた単語にびっくり。「痺れる」「美味い」「恨む」……痺(しび)れるは常用漢字じゃないし、美味(うま)いは表外の読み方だ。恨(うら)むは常用漢字だけど、読めない日本人だっているよ。
 いや、ちょっと。そんな漢字覚えなくても大丈夫ですよ、と思わず言いたくなってしまった。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年7月 3日 (金)

ひいばあちゃん

 その人の人格は、だいたい何歳頃に決まるのだろうか。もちろん、その年代ごとに形成されるものもあるし、年をとるにつれて変わるものもある。でも「三つ子の魂百まで」というではないか。
 だとしたら、私の人間形成は、祖父母によってなされたのだと思う。明治の半ばから末にかけて生まれた、曾祖母と四人の祖父母。
 曾祖母は100歳の年に、当時の三重県久居市(今は合併して津市の一部となっている)の市長から長寿の表彰を受けた。ひいばあちゃんのいる友人はそんなに多くなかったから、長寿の家系の代名詞のような存在だ。
 曾祖母が亡くなったのは高校2年の夏だった。晩年は全盲だったが、誰の世話も受けず、認知症になることもなく、本当に強い人だった。死の直前まで日常生活を送り、自立した女性だった。ご近所さんに「お悔やみというより、大往生でおめでたいね」といわれた。若かった私は、いくら大往生といえども生きていてほしかった、と思ったけど。
 大往生「(1)苦痛なしに安らかに死ぬこと。(2)りっぱな死」小学館 新選国語辞典 第七版

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月26日 (金)

梅雨 その2

 ちなみに気象庁のHP(http://www.jma.go.jp/jma/index.html)には、さみだれは「梅雨期の雨(旧暦五月の雨、「五月雨」と書く)」梅雨(つゆ)は「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」とある。ただし、さみだれは「通俗的な用語のため予報、解説には用いない」との断り書きがあった。
 それより詳しいのが広辞苑。「ばいう」で引くと「(梅の実の熟する時期に当るからとも、物に黴(かび)が生じやすいからともいう)六月上旬から七月中旬にかけて日本および揚子江沿岸地方に起る雨季。また、その時期の雨。六月一〇日頃本格的となり、二〇日過ぎに中休みがあって、後半は驟雨(しゅうう)・豪雨を伴うことが多い。停滞性の梅雨前線に沿って小低気圧が連なって東進して雨を降らせる。(後略)」(第四版)
 中休みの解説まで! それに、今年に関しては当たってますよ。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月19日 (金)

梅雨

 梅に雨と書いて「つゆ」と読む。なぜだろう。
 国語辞典には「六月から七月はじめ(陰暦では五月)ごろ、降りつづく長雨。さみだれ。梅雨(ばいう)」とある(小学館 新選国語辞典 第七版)。
 これでは上記の答えにならないので『語源大辞典』(堀井令以知 編 東京堂出版)を引いてみた。「夏至の、前後の雨期。ツユ(露)のように湿っぽいからか。露と同系か」とある。ん~、はっきりしないということか。
 しかしながら、おおかたの国語辞典によると「梅雨=五月雨」となる。たしかに旧暦では五月に当たるのだが、ちょっと認識不足だったかも。さみだれと梅雨のイメージって違うんだけど。梅雨明けの頃はさすがに旧暦でも六月なのでは?と思ったが、う~ん残念。今年は閏月があって、2009年7月の上旬は閏五月でした……。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月12日 (金)

デカ文字

 先日、新聞の文字が大きくなっている、という話を書いた。
 「大きな字」を謳(うた)った地図が売れたのが2000年ごろ。最近では、文庫も新書も文字はどんどん大きくなっている。昔の新書を読もうとしたら、その文字の小ささに驚いた。
 だいたい、40歳を超えると老眼が始まるらしい。その世代が老眼鏡をかけずにラクに読める文字の大きさが14級ぐらいだという記事を、前にどこかで読んだ。当時私は30代で「ふ~ん、そうなのか。じゃあ、これから中高年を読者対象にするなら本文は14級だな」と、かなり他人事だった。
 でも「その時」はやってくるのですよ。輸入品の缶詰に書いてあったアルファベットが読めない……。しかも、めがねを外したら読めた……。
 7級に満たない文字を、商品に表記するのもどうかと思いますよ!

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月 5日 (金)

級数 その3

 写植から、さらに時代はDTP(Desktop Publishing)へ。
 DTPで「ポイント」が復活したようだ(この場合は国際単位の0.3527ミリ)。Illustratorなどの、DTPで頻繁に使用するアプリケーションでは、文字の大きさをポイントで表している。級数で操作するには設定を変えなければならない。Wordや一太郎などといったワープロソフトもポイントだ。もしかしたら、若い世代はどんどんポイントに移行していくのかもしれない。
 級数とポイントのあいだには、好き嫌いも含めていろいろ持論があるようだ。数字が苦手な私にとっては「ミリ」の空間を埋めるには、四分の一ミリで割り切れる「級」のほうが断然ラクでいい。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月29日 (金)

級数 その2

 「級」に話を戻すと。
 級数は手書きにすることが多いので、私たちはアルファベットのQで表記する。私が「○Q」と書くのは、漢字は画数が多くて面倒だからだ。同業者がそう書くのも、音が同じだから略字として慣用的につかうようになったのだと、勝手に思っていた。
 だが、そうではなくて1Qが4分の1ミリ=Quarterだから、頭文字をとってQと書く(明解 クリエイターのための印刷ガイドブック 基礎編 玄光社)、れっきとした単位らしい。
 「級」は写植(写真植字)の単位なので、活字の時代は「ポイント」で表していた。1ポイントは「七二分の一インチ(〇・三五一四ミリメートル)」である(小学館 新選国語辞典 第七版)。私は写植になってからの世代なので、級数でないと正確な大きさを把握できない。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月22日 (金)

級数

 文字の大きさを、出版業界では「級」という単位で表現する。1級は0.25ミリ。つまり4級=1ミリである。
 出版業界では、といったのは、新聞社は読みやすさを競って独自の文字を作っているようだから。これまで何度か「大きくなりました」と各社が同時期に発表してきた。決められたスペースに、いかに情報を詰め込むか。1行の字数はどんどん変わっているし、1ページの段数まで変わってしまった。
 新聞の1ページ=15段は、ある一定の世代まではそれが当たり前で、例えば新聞広告の料金は段数で決まる。全5段とか3段1/8(三八つ)など、耳にしたことがある人も多いと思う。それを変えてまでの、デカ文字化。1行の字数を減らさずに文字を大きくするため、スポーツ紙を含め、ほとんどの新聞の本文が横長の文字になっている。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月15日 (金)

ファストファッション

 不況下でも(だからこそ、か)ファストファッション業界は景気がいいとか。
 「ファストファッション」ということばは、数年前には日本のメディアにも登場していたらしいが、ここ半年ほどで一気に市民権を得た。
 ファストファッションはファストフードの衣料版という表現がいちばんわかりやすいが、この「ファストフード」、しばしば「ファーストフード」と表記(誤記?)されてきた。英語の「fast food」は「注文するとすぐ出されることからこうよばれる」と手元の古い辞書にある(研究社 NEW APPROACH)。「fast(速い)」は「ファースト」とも発音するので「first(第一の)」と混同されてしまうのだろう。
 ファストファッションは長音のない音声として認知されたはずだから、そのおかげでファストフードの表記に迷う人が減るのではないか、とひそかに思っている。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年5月 8日 (金)

ことばの意志

 つまり「申し訳のうございます」と言うのがこっぱずかしいから「申し訳ございません」とついつい言うようになったのではなかろうか(←これは未然形)。こうやってことばは人間の感情で廃れたり、変化させられたりするのだ。
 でも! ことばは強い。形容詞、連用形、ウ音便で、もっともたくさんつかわれていることばが存在する。「おいしゅうございます」も「悲しゅうございます」も絶対つかわない、という人だって、きっと今日一度は発しただろう。それが「おはようございます」と「ありがとうございます」だ。
 このふたつは、未来永劫、第一線で活躍するだろう(であってほしい)。これがことばそのものの持つ意志でなくてなんであろうか。やっぱりことばって、すごい。

(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«形容詞の活用