横道まわりみち ~第193回:世田谷線のんびり旅~(2)~
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
◎最新刊発売中!
東京時間旅行『荷風!』Vol,18(定価880円税込)
★特集:浅草・両国~隅田川両岸二町物語~
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
横道まわりみち ~第193回:世田谷線のんびり旅~(2)~
10年ほど前に建てられた、三軒茶屋再開発のシンボル・キャロットタワーを背に、2車両の電車はゆるゆると出発する。乗ってみるとさらにバスのように思えてしまうのは、座席が横並びでないから。進行方向を向いて、一列または二列に、あるいは進行方向と逆を向いて。むかしの写真を見ると横並びなんだけど。
車窓からは、線路沿い左手に、キバナコスモスが咲き乱れているのが見えてくる。電車にばちばちと当りそうな距離で。その後すぐに西太子堂駅に到着、キバナコスモスを愛でるために、駅に降り立つ。三軒茶屋からたった1分のこの駅で降りる人など他には誰もおらず、近くの太子堂公園ではキンモクセイが惜しげもなくその香りを漂わせている。
いいねえ。
時おり通過する電車を眺めながら、しばし公園で休憩をする。
再び電車に乗り込む。日中はだいたい5分間隔で電車が来るから、乗ったり降りたりするのには都合がいい。次の駅には世田谷線一番の名所「若林の踏切」があるという。この踏切では、人が電車を待つように、電車が車を待つという。
これ、乗っているとあまり実感がなかったけれど、若林駅で降りて観察してみると、環状7号線の車の流れを止めないように、世田谷線の何倍ものスピードで資本主義社会を駆け抜けていく(ように見える)車たちに譲歩するために、電車が待っている。その姿がいじらしいというか、何と言うか。
こういう微笑ましさが、住民にも外モノにも、可愛がられてしまう一因なのでしょうね。
(文・写真/堀径世)
(C) Nihonbungeisha All Rights Reserved 無断転載禁止
http://www.nihonbungeisha.co.jp/
| 固定リンク

コメント